柳川の風景は、細やかな感覚に
じんわりと沁み渡る。

掘割に馴染む町家。ゆれる柳。
雲映す水面を滑るどんこ舟。
情趣、余韻に浸る川下り。

のどかに流れる時間は、
カタカタと映写機が送り出す
コマのように懐かしい。

掘割が人と町をつなぎ、
人と人を結んできた柳川は、
たおやかにおっとりと、
今日も訪れる人を迎える。
明治以降、盛んになった舟遊び。
風流な酒興が川下りの起源となりました。
弥兵衛門橋(やえもんばし)は、
建造から400 年を越え、柳川の
今昔を見つめています。
家々の裏軒には、水汲場の石段があります。
色濃く面影残る生活水路。
夕暮れ時、数珠つなぎの戻り舟。
巧みに空舟操る船頭の技、数えきれない
長い舟の列は、人知れず“ 柳川裏景色”。
ゆつらっと“ 御花” に到着しました。
殿さん、姫さんになったつもりで、
船着き場の門をおくぐりください。
熟練の竿さばきとのど自慢。
地下足袋、白い法被に“ ばっちょ笠”
船頭は、日常を忘れさせてくれる
夢前案内人です。
家族とくつろぐために建てられた
柳川藩主の別邸・御花。
今は、訪れる人を和ませます。
緑豊か、雅な佇まい。
青い空に映える白亜の迎賓館。
ルネッサンス様式の建物の中には、
当時のエレガンスが鏤められています。
どんこ舟を降りて、風情ある町を散策すると、
のんびりしている間に、いつのまにか
有明海へそそぐ漁港の景色に変わります。
白秋が生れ育ち、愛した面白き沖の端。

柳川季節めぐり
[一〜三月][七〜九月][十〜十二月]